タイ語の早口言葉
元田時男(2000年5月24日)
早口言葉というものがあります。私が子供のころ少年倶楽部に出ていたもので今でも覚えているものに「生麦、生米、生卵」、「隣の客はよく柿食う客だ」、「東京特許許可局」などがあり、友達同士で、お互いに相手に言わせてできないと面白がって喜んでいました。それから、大阪に3年ほどいましたとき、隣に「大阪府住宅供給公社」の団地があり、友人が住んでいましたので、「供給公社」へ行ってくると言うとき、これが短いながら意外に難物で舌がもつれて困っていました。
タイ語でも、早口言葉はあります。幾つか例を上げてみます。先ず短いのから紹介しますと、「ラノーング・ラヨング・ヤラー」というのがあります。全部地名です。何だか簡単なようですが、これを早く言いますと、意外に難しく、舌がもつれます。前述の東京特許許可局、住宅供給公社のようなものですね。特許許可局なるものは現在では特許庁です。昔はそう呼んでいたのでしょうね。次に長いのを紹介します。
「ギン・マン・デイット・グアク・ギン・プアク・デイト・ファン・ギン・タング・マン・ギン・タング・プアク・デイット・タング・グアク・デット・タング・ファン」です。
訳しますと、「芋を食べると歯茎にくっつき、里芋を食べると歯にくっつき、芋と里芋を食べると歯茎と歯にくっつく」となります。これを、タイ語で正しく発音しながら早く言いますと確かに舌がもつれて、難しいですね。
ところで、こういう言葉遊びを日本語では「早口言葉」と称します。英語でも Tongue Twister と呼びます。ところが、タイ語で何と称するのか、タイ人に聞いても誰も知りません。どうもないのではないかと思います。カム・レウではどうだろうと言う人もいますが、外のタイ人に聞いても通じません。ただ、遊ぶときは「プート・ダイ・マイ」、言える?と問いかけてから遊ぶようです。なぞなぞのアライオーイと同じようなものかと思います。タイの友人から外にも幾つか教えてもらいましたので、時々言ってみるのですが、いつも舌がもつれます。しかし、正しい発音の実地訓練としては非常に有益ではないかと思います。