Q:社用車運転手の超過勤務は何時間でも許されるのでしょうか?
A:自社の運転手が事故を起こして他人に損害を与える場合とは、死亡事故も含みますが、
使用者には、どういう責任がかかるかは考えておかねばなりません。
民商法典425条では、「従業員が、執務中に起こした不法行為(故意または過失による)について使用者は連帯して責任を負う」と規定されています。
運転手が会社の荷物、または従業員を運送しているとき事故を起こし、第三者が死亡した場合を例にとりますと、運転手も損害賠償の責任がありますが、使用者(会社)にも責任があるということです。ただし、運転手に損害を全部賠償する資力はないのが普通ですので、使用者が賠償することになります。
民商法典426条では、こういう場合、使用者は事故を起こした運転手に求償することができますが、事実上無理でしょう。
日本の民法では、上記の425条と同様の規定がありますが、連帯ではなく、使用者が責任を負うことになっていますが、従業員に対する求償権はあります。また、但し書きに、「使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、または相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは」使用者に責任はないと規定されています。
タイの民商法典には、この但し書きがありませんので、使用者は無条件に連帯して責任を負うことになると解されます。連帯して責任を負うとは、被害者は従業員でなく使用者に賠償請求してもよいと解されています。日本の連帯責任と同じですね。
注意しなければならないのは、前日夜遅くまで運転手を使って、翌朝100k以上もある会社まで、スピードを出して同じ運転手の運転により出勤するようなときですね。運転手が居眠り運転をして事故を起こせば、使用者にも重大な過失があると裁判では判断されるでしょう。また、自分の身の安全にかかることでもあります。
もし、ゴルフなど私用で社用車を使っていた場合、他人を死亡させ、自賠償以上の損害賠償を要求され、会社が賠償金を負担してくれるかどうかも考えておかなければなりません。
労働者保護法に基づく省令12号における、運転手には終業から始業までに10時間以上の間を開けなければないないという規定も忘れてはならないのであります。この規定は運送業者の運転手に対する規定のようにも見えますが、どうであれ、自分の身の安全のためにも、運転手が過労とならないように気をつけましょう。
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