SME MULTI CONSULTANT ニュース31号(200425)
タイの法令の新しい話題を簡潔にまとめ、月一回のペースで送信いたします。(西暦 = 仏暦 − 543)
1.タイ政府がコロナ対策で非常事態宣言、200403から夜間外出禁止(200420~23更新分):
200325付けでプラユット首相が宣言し、同日付け官報で公示され、200326から200430の期間施行されている「(仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令 第5条に基づく)タイ全国を対象とする非常事態宣言」と、「(仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令 第9条に基づく)施行規則第1号」については SME MULTI CONSULTANTニュース22号をご参照下さい。200312付け「内閣府通達第76/2563号」により設立された「ศูนย์บริหารสถานการณ์การแพร่ระบาดของโรคติดเชื้อไวรัสโคโรนา 2019 (โควิด – 19): Center for COVID-19 Situation Administration、タイ政府COVID-19対策本部(CCSA)は、200325付け官報で公示された「(仏暦2548年 非常事態下の行政統治にかかる勅令に基づく)特別執行機関設立にかかる総理大臣通達 第2563/5号」により、そのまま新型コロナウィルス(COVID-19)の非常事態に対応しています。CCSAでは、200325から内閣府広報局テレビ(NBC)、マスコミ公社テレビ(MCOT)やラジオの生放送だけでなく、直管のフェイスブックやユーチューブ等のビデオオンデマンドも活用して1回1時間程度の直接情報公開を行い、毎日2~3回更新しています。タイ語ですが一部は英語でも広報されています。
例: 200423タイ政府COVID-19対策本部(CCSA)政策説明・進捗報告(内閣府広報局ユーチューブ)https://www.youtube.com/watch?v=j59nC8OVivc
日々の政策説明・進捗報告のポイントは下記のとおりです(200419までの分はSME MULTI CONSULTANTニュース30号をご参照下さい)。
200420 タウィーシンCCSA報道官(精神科医師):タイ国内の新型コロナウィルス(COVID-19)発生状況は感染者2,792人(うち新規感染27人)、回復1,999人、治療中746人、死亡47人。タイ全国77都県のうち、この14日間の新規感染者ゼロが35県に増加、さらに今まで新規感染者皆無も9県。外国の新規感染者は米国25,352人、英国5,850人、ロシア6,060人、日本501人、タイ27人。タイは世界の累積感染者(多い順)で、54位に後退(日本27位)。今朝のCCSA会議では、プラユット首相が新規感染者減少への国民の協力活動を評価。現在、防疫規制の部分的段階的な緩和を検討中。厚生事務次官の試算では、新規感染者推移はベストシナリオで6月下旬に週22人まで下がる可能性があるが、一人スプレッダーが出れば一気に2,419人に化けてしまう。帰国タイ人の受入れ(14日間隔離観察)では、世界各国から数千人の帰国希望者がいるが、うまくバランスを取らなければならない。感染爆発中の諸外国からタイに帰国したいのは分かるが、急ぎ過ぎれば今度はタイで感染爆発してしまうからだ。内務事務次官によると隔離観察施設は全国796ヶ所、2万人以上の収容能力を整えており、現時点の利用率は一割強のみ。PCR検査の陽性率は二週間前の2~3%から直近では1.5~2%に下がっている。検査方法も唾液採取方式が導入されつつある。これから社会的間隔を保ちつつ、徐々に社会生活を取り戻す工夫をしていくが、そのためには町中やいろんな場所に出てくる人の総数を制御する必要がある。一度にどっと人々が繰り出してきたらおしまいだ。
200421 タウィーシンCCSA報道官(精神科医師):タイ国内の新型コロナウィルス(COVID-19)発生状況は累積感染者2,811人(うち新規感染19人)、回復2,108人、治療中655人、死亡48人。現在の累積感染者2,811人の上位5都県はバンコク1,447人、プーケット193人、ノンタブリ152人、サムットプラカン108人、ヤラー95人。タイ全国77都県のうち、この14日間の新規感染者ゼロが36県に増加、さらに今まで新規感染者皆無も9県。職業別感染者数の上位5業種は自由業、商業・自営業、会社員・工場勤務、娯楽産業、学生の順で20~39歳の層が多い。シンガポールで感染爆発、アセアンのトップになってしまった。原因は外国人労働者の集団密集生活環境。昨夜の夜間外出禁止令では違法外出、感染危険行為ともに横ばい。飲み会、ドラッグ、賭博は止めよう。帰国タイ人の受入れ(14日間隔離観察)は本日、日本から100人、台湾から120人だ。キングモンクット病院で既存の病棟を改造した陰圧室が完成したのはいいニュースだ。院内感染を防止できる。記者質問「新規感染者19人の記録、これで外出しやすくなるか」。報道官「今は非常事態中であるが、確かに道路が混んできた。安心していいが油断してはならない。シンガポールで4人から千人台に感染爆発した例をさきほど見たばかりだ。密集は絶対避けること」。記者質問「防疫規制の緩和はどのように進めるのか」。報道官「個別の内容ごとに地域的・段階的に進める。どの県・地区、どの業種、どの時間、CCSAではそれら統計を毎日収集・整理している。皆さんの努力と協力の成果が試される。善因善果、悪因悪果となろう。新しい目標を立てよう、それは一日の新規感染者数10人を14日間続けることだ。マスク100%着用して世界一を目指そう」。
200421 プラユット首相(CCSA代表):本日、ワチラロンコン国王陛下により各種対策予算化の勅令が認証された。まず、1兆バーツの国債発行勅令(医療体制充実、国民生活支援、経済社会復興)である。本日、予算管理委員会を任命した。次に、9千億バーツの中央銀行の金融政策勅令二本(5千億の中小企業向け新規ソフトローン等、4千億の金融機関安定策)である。直近では日々の新規感染者数が減少してきている。ここは慎重に見極めなければならない。もし一足飛びに規制緩和すれば感染爆発を招くこと必至だ。さて、タイ国内の財閥上位20人宛て対する協力要請に応じて集まってもらい協議した。有力財閥各位の持つ経営資源である事業所と人材を正しく活用して、事業活動の緩和策を着実に進めていってもらいたい。各財閥ごとに創意工夫してもらうが、政府は予算があるので財閥に寄付を要請するのではない、と協力要請状にも記載しているとおりだ。防疫措置や経済活動で協力してもらうのでよろしく。ところで電力料金の値下げの件では、情報操作や嘘情報拡散が無用な対立や措置の遅延を引き起こしたので慎んでほしい。非常事態宣言は来週火曜日(200428)に再度発令する。内容がどうなるかは今までの統計分析と厚生省の判断に委ねている。規制の緩和については、物流・流通部門からの陳情が集まっているので治安当局が真摯に対応すること。実は途中で一回緩和を発表していたが現場サイドで混乱もあるので十分な配慮を求める。いつの時点で何をどの程度という具体的な内容は、業種間差異や地域差があるので、個別に適時に行うべきであり、その際、社会的間隔保持や面積当たり人数制限などの防疫措置を的確かつ十分に行うこと。皆さんの生活が自由な経済活動にかかっていることはよく承知しているが、健康を守ることがその大前提であることをお忘れなく。安易な妥協により一気に規制緩和した挙句の果てに屍累々では台無しで、取り返しがつかなくなる。だから政府はしっかり監督していく。現在の危機を乗り越えるため政府は様々な施策を打っているので、皆さんお金の給付ばかり注目するが、落ち着いて全体を通してみてもらいたい。そうすればわかる。補正予算に国債発行と危機打開策も展開しつつ将来の国民負担も最小化するという両立を政府は慎重に実践している。どうか皆さん官民それぞれの立場で、社会的連環、サプライチェーンの中でご自身の役割を校正に遂行いただきたい。既に皆さんは種々努力してきたし、今からさらにどうすればいいのか、自分で答えを出さねばならない。これは競争でも、強制でも、取引でもなく、一途な相互協力によって危機に打ち克つことなので、この点を切にお願い申し上げる。
200422 タウィーシンCCSA報道官(精神科医師):タイ国内の新型コロナウィルス(COVID-19)発生状況は累積感染者2,826人(うち新規感染15人)、回復2,352人、治療中425人、死亡49人。新規感染者の最少記録だ。発症自覚からPCR検査までの平均日数4日、最長は28日。100件に達する指定検査機関では検査料無料。全世界の累積感染者数が250万人を超えた。昨夜の夜間外出禁止令では違法外出、感染危険行為ともに減少。帰国タイ人の受入れ(14日間隔離観察)は本日、ロシアから25人、ベトナムから115人、韓国から60人だ。防疫を制することは健康を維持できること、生きていての物種。命があって健康なら、お金はまた稼げる。みんなでそろって生き残ろう。記者質問「今後規制が緩和されたとして、事業活動を再開したところ事業所内から感染者を出してしまうとどうなるのか」。報道官「閉鎖措置、観察措置の対象となる。事業所再開は規制撤廃方式はあり得ず、厚生省が蓄積した統計資料を分析し、地域的・段階的に規制の部分解除、規制緩和方式となろう。厚生省保健局ではマスク等のウィルス汚染ごみ分別処理を推奨している。清潔を保つことが大事。折しも今日は地球の日、地球を守れば人間は守ってもらえる。地球を害すれば報復を受ける。目に見えないウィルスが人々を家に閉じ込め、地球環境を取り戻しに来たのだろう。人間活動が静かになってPM2.5や二酸化炭素排出が減り、外国人がいなくなったら海がきれいになってきた。地球をキレイに保つキッカケになることを願って」。
200423 タウィーシンCCSA報道官(精神科医師):タイ国内の新型コロナウィルス(COVID-19)発生状況は累積感染者2,839人(うち新規感染13人)、回復2,430人、治療中359人、死亡50人。年代別で感染者数が20代30代が多いのに対し、死亡者は高齢者が多くなっている。全世界の死者数は18万人を超えている。アジアの新規感染者数ではインド、シンガポール、パキスタンの悪化が目立つ。帰国タイ人の受入れ(14日間隔離観察)は本日、マレーシアから144人、トルコから55人、明日、インドから171人、日本から31人だ。昨夜の夜間外出禁止令では違法外出、感染危険行為ともに増加。背景に、道路検問を減らした分、パトロールを増やしていることがある。通報ホットラインは電話番号1599または191。宗教上の慣習も一部変更されている。仏教では隔離観察対象となった仏僧が仏教寺院以外の場所(ホテル)に滞在することを容認。イスラム教ではラマダン中でも唾液を飲み込むことを推奨。マレーシア国境からの帰国希望タイ人は数千人だが、診断書と事前登録制で管理し段階的に入国後は指定の場所で隔離監査を行っている。記者質問「外出や事業活動の規制が緩和されたという情報が出回っているが」。報道官「現時点ではその事実はない。閣議決定を経てCCSAが正式発表する手順となっているので偽情報にご注意いただきたい」。
200423 日本の梨田駐タイ特命全権大使、プラユット首相を訪問し、タイのCOVID-19対策の成功を評価するメッセージを伝達。首相は「両国のさらなる緊密な連携を」と応じた。
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*当事務所の対策状況:
コロナウィルス(COVID-19)対策のため小社では当面の期間、下記のとおり万全対策を行っております。お客様各位のご協力を賜り、まことにありがとうございます。
お客様対応はテレビ会議(Web会議)・eメール・電話に「全てを切り替え済み」です(対面式の会議は当面の間、自粛させていただきます)。
しばらくご不便をおかけすることなり、誠に恐縮に存じますが、一致協力してこの難関を突破して参りましょう。
*お知らせ:
当事務所では在タイ日系企業向けに、弁護士による社会保険(失業またはCOVID-19による一時帰休)補償給付申請の相談/支援業務を日本語とタイ語で行っております(有料)。
以上です(上記は作成した時点でのご参考情報です。実際の運用の
御社のご盛業を!